アーク溶接特別教育の費用・日数と、JIS溶接資格との違い
製造業の求人票に出てくる「溶接」は、実は2種類がごちゃまぜになっています。 溶接をやるために法律上必要な教育と、腕前を証明する民間資格。 この2つは費用も更新も全く別物で、混同したまま受けると お金と日数を無駄にします。
1. アーク溶接等特別教育(法律上、これが無いと就けない)
アーク溶接機を使って金属を溶接・溶断する業務は、特別教育を修了していない人を就かせてはいけないと決まっています (労働安全衛生法第59条第3項、労働安全衛生規則第36条第3号)。 資格試験ではなく「事業者が受けさせる教育」なので、修了試験で落とされる性質のものではありません。
| 区分 | 時間 | 中身 |
|---|---|---|
| 学科 | 11時間以上 | アーク溶接等の知識、装置の知識、作業方法、関係法令 |
| 実技 | 10時間以上 | 溶接装置の取扱いと作業方法 |
| 合計 | 21時間以上 | 3日間の日程で組まれることが多い |
※ 科目と時間は安全衛生特別教育規程第4条に基づく最低基準です。実際の日程・時間割は 実施機関によって異なるので、申し込み前に案内で確認してください。
費用は1万5千円〜2万円台のところが多く、フォークリフト技能講習より安く済みます。修了証に更新はなく、一度取れば一生有効です。
「特別教育」と「技能講習」を間違えない
溶接まわりで名前が似ていて紛らわしいのがこの2つです。
- アーク溶接等特別教育 = 電気で溶かすアーク溶接。特別教育。
- ガス溶接技能講習 = 酸素・アセチレンなどガスを使う溶接・溶断。こちらは技能講習。
現場でガス切断もやるなら両方要ります。求人票に「溶接」としか書いていない場合、 どちらを指しているかは面接で聞いた方が早いです。
2. JIS溶接技能者評価試験(腕前の証明。こちらは更新あり)
特別教育を受けただけでは「法律上、溶接業務に就いてよい」だけで、きれいに付けられるかどうかは別の話です。 そこを証明するのがJIS溶接技能者評価試験で、 求人票で「JIS A-2F」「基本級」「専門級」と書かれているのはこちらです。
特別教育と決定的に違うのが、維持に手間がかかる点です。
- 適格性証明書の有効期間は1年
- 満了前にサーベイランス(適格性の確認)を受けて1年延長。これを2回
- 登録から3年経つと再評価試験を受け直す
つまり、放っておくと失効します。 持っている人は在職中に会社の手続きに乗っていることが多く、 辞めるとサーベイランスの申請を自分でやることになります。転職のタイミングで期限を確認しておかないと、 「溶接できます」と言えなくなる期間が生まれます。
辞める前にやること
- 特別教育の修了証が手元にあるか確認する。 会社がまとめて保管していることがあります。原本は本人のものです。
- JISを持っているなら有効期限を見る。 次の更新時期が退職後に来るなら、誰が手続きするのかを決めておく。
- 取れるものは在職中に取る。 溶接系は費用が数万円で、会社が出すケースが多い部類です。