皆勤手当2万円、遅刻1時間で全額カット
——求人票の手当をどう見るか
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求人票に「皆勤手当 20,000円」と書いてあると、 月給がその分高い会社に見えます。 実際は逆で、皆勤手当は増える手当ではなく、減る手当です。 基準の月給が2万円低く設定されていて、休まなかった月だけ元に戻る、という形になっていることが多い。
自分は高校を出てから鉄工所に28年います。 入った当時の会社は、今の言葉で言えばどブラックでした。 その皆勤手当で実際に何が起きたかを書きます。20〜30年前の話で、今そのままの会社は減っていますが、 求人票の読み方としては今でもそのまま使えます。
1. 皆勤手当は「加算」ではなく「減点方式」
当時の条件はこうでした。
- 皆勤手当は月20,000円
- 月に一度でも休むと、全額引かれる
- タイムカードが無い
- 有給休暇という概念が無い
- 勤務は朝8時から夕方5時まで
分かりやすく言うと、月給の中の2万円が「一日も休まなかった人にだけ返ってくる預り金」になっている状態です。 風邪でも、子どもの行事でも、役所の用事でも、休めば2万円が消えます。額面は変わらないのに、休みにくさだけが跳ね上がる設計です。
2. 法律ではどうなっているのか
当時は考えもしませんでしたが、いま整理すると線引きがはっきりしています。合法な部分と、そうでない部分が混ざっているのが分かります。
皆勤手当そのものは違法ではない
皆勤手当を置くことも、「皆勤でなければ支給しない」という条件を付けることも、 それ自体は会社が決められる範囲です。 遅刻したから支給要件を満たさない、という扱いは制度としては成り立ちます。だから「引かれるのはおかしい」と法律で押し返すのは難しい。押し返せないからこそ、入る前に条件を見るしかないという話になります。
忌引き(慶弔休暇)は法律上の義務がない
意外に思われますが、忌引き休暇を与える義務は労働基準法にありません。 日数も、対象になる親族の範囲も、賃金を払うかどうかも、全部会社の規程次第です。 だから「葬儀が月をまたいだので適用外」のようなことが実際に起こります。
求人票に「慶弔休暇あり」と書いてあっても、それだけでは中身が分かりません。何日か、有給か無給か、皆勤手当の扱いはどうなるか。 ここまで聞いて初めて条件を比べられます。
有給休暇は「概念が無い」では済まない
年次有給休暇は労働基準法39条で決まっています。雇入れの日から6か月続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した人には10日付与する、 というのが原則で、これは会社が選べる話ではありません。 パートでも日数に応じて付きます。
さらに2019年4月からは、年10日以上付与される人について会社が年5日は時季を指定して取らせる義務があります。 「うちには有給が無い」という会社は、制度が無いのではなく与えていないだけです。
有給を取ったことを理由に皆勤手当を削るのは別問題
ここが一番実害の出るところです。 労働基準法附則136条は、年次有給休暇を取った労働者に対して賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにと定めています。精皆勤手当や賞与の計算で、有給を欠勤として扱うのは不利益取扱いにあたります。
この規定自体に直ちに罰則があるわけではありませんが、労働基準監督署の是正指導の対象になりますし、 減額の程度によっては公序良俗に反するとして民事上無効になることがあります。 つまり「有給を使ったら皆勤手当が消えた」は、そのまま飲み込む必要がありません。
タイムカードが無いのは今なら通らない
2019年4月から、会社は労働時間の状況を客観的な方法で把握する義務を負っています (労働安全衛生法66条の8の3)。 方法は省令で「タイムカードによる記録、パソコン等の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」と定められていて、記録は3年間保存することになっています。
面接で「勤怠はどうやって付けていますか」と一つ聞くだけで、かなり分かります。 自己申告の手書きだけ、という答えが返ってきたら、残業時間も同じ精度で管理されていると考えていいです。
3. 求人票では、ここを見る
- 月給から皆勤手当・精勤手当を引いた額を見る。 休んだ月に振り込まれるのはその額です
- 不支給になる条件を聞く。1日でも休んだらか、遅刻でもか、半額か全額か
- 有給を取った月の扱いを聞く。「有給でも皆勤扱い」と即答できる会社は、 この論点を分かっている会社です
- 慶弔休暇の日数と適用条件を聞く。「あり」だけでは何も分かりません
- 勤怠の付け方を聞く。客観的な記録が無い会社は、残業代の計算根拠も無い
求人票の他の項目については工場の求人票、どこを見れば手取りが分かるかにまとめてあります。
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